ネビル・シュート (Nevil Shute)

1899〜1960
ロンドン生まれ。
オックスフォード、ベーリアル・カレッジ卒。
航空機メーカーの設計技師に。
第一線で活躍するかたわら、
1926年「MARAZAN」を発表。
邦訳は少ないですが「渚にて」が代表作でしょう。
    On the Beach
1957「渚にて」★★★★★

第三次大戦が勃発し、 ソ連と北大西洋条約諸国との交戦はソ中戦争へとエスカレートした。 水爆とコバルト爆弾の炸裂する戦争はすぐに終結したが、 放射能におおわれた北半球の諸国は死滅していった。 アメリカ原子力潜水艦スコーピオン号は放射能帯を避けたが、 人類の最後は目前に迫っていた……。 迫真の感動をもって迫る名編。 核汚染により刻一刻と着実に迫りくる人類最後の日。 そんな状況下で繰り広げられる、 ごく普通の、ものかなしい物語。 いやになるくらい日常の風景が心に沁みます。 いっそパニックでも起こして醜く争ってくれた方が マシなんじゃなかってくらい、 あらがいもせず諦観してるから儚いったらない。 飛び出すジョークも滅亡を示唆するから空虚感が跳ねあがります。 終盤はもうひたすら歔欷(;_;) これもまた1つの理想と思えるから心痛いよ…
    Pied Piper
1942「パイド・パイパー」★★★★★
フランスの田舎道でパンクのため立ち往生したバスは、 ドイツ軍の編隊の機銃掃射を受けて動けなくなった。 これから先は歩いてもらわにゃあ―。 老イギリス人は、やむなくむずかる子供たちの手を引いた。故国を目差して…! 戦火広がるフランスを、機知と人間の善意を頼りに、 徒手空拳の身でひたすらイギリス目差して進む老人と子供たち。 英国冒険小説界の雄が贈る感動の一編。 冒険小説、でいいのかなぁ>ジャンル 元弁護士の老人ハワード(70)と子供たちの物語。 老人と子供と戦争という題材はそれだけで体裁がいいね。 プロットは単純至極。 フランスの地方へ慰安に来ていたハワード。 そこへ忍び寄る戦火を危惧し、やむなく帰国することに。 その際、ふたりの子供を托され、イギリスへ―― 道中、ふたりが三人に、三人が四人にと、 「ハメルンの笛吹き」よろしくぞろぞろ増えていきます。 (タイトルはこれに因す) ハワードと子供たちは無事イギリスへたどり着けるのか? 忍耐強いハワードもかっこいいけど、 子供たちがかわいすぎる。特に幼女ね(;´Д`) いや、別に変な意味じゃないですよ? ちゃんと時と場合はわきまえますし。 とにかく、ハァ…じゃない、ハラハラさせてくれます。 「渚にて」と同様、派手な要素はありませんが、 しっとりと浸透してくる物語は万人に推奨できますね。
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