「復刻 エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン〈No.1‐3〉」
ミステリマガジン編集部編 (早川書房) 1956 
海外の傑作をいち早く紹介するミステリ専門誌
「ミステリマガジン」の40年前の創刊時に遡り、
その前身である「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の
創刊号から3号までを完全復刻した画期的合本。

1956年6月、EQMMの日本語版が創刊されました。
その創刊7月号〜9月号までを合併させたマニア垂涎の書。
なるべく当時の雰囲気を再現しようとしているのもさすが早川浩。
表紙とか目次とか広告(値段安っw)とか、どうにもたまんないね。
私は生まれてもいなかったけれど、そう思いますゆえ、
リアルタイムで読んでた歴戦のミステリファンは卒倒するかも。
クイーンの作家作品解説もあったりするのでQファンも必見です。

では収録作品をかんたんに紹介します。
いかにもEQMMメンバーって感じですな。定員的で。
Cowabunga!


創刊(7月)号

 魔の森の家(The House of Goblin Wood) C・ディクスン

HM卿もの。
20年前に起きた未解決の不思議な事件――
それはある名家で幼い少女が寝ていたベッドから
突如すがたを消し、一週間後にまた現われたというもの。
少女に問いただしてもよくわからないの一点張り。
――その20年後、成長した少女がHMとピクニックに行った際、
同じ家でまたしてもそのすがたを消してしまった!
密室状態からの人間消失のトリックとは?

おお、こ、これは完ぺきな短編ですよ(;´Д`)
クイーンの解説(というか、これぞ考察)もよすぎ。

 パーティの夜(House Party) S・エリン

パーティの夜、舞台俳優マイルスは決意した。
彼は演劇の主役として成功を収めていたが、
日常のくり返しを非常に苦痛と感じており、
劇団を脱退し、愛人とあらたな生活をはじめようと。
しかし、そんな無責任な彼を待ちうけていた運命とは――

エリンの"切れ味"をいかんなく発揮した作品。

 死者の鞭うつ勿れ(De Mortuis) J・コリヤ

ちいさな田舎町の医師ランキンのようすがおかしかった。
発見したのは釣りのさそいに来たふたりの友人。
友人たちは医師が地下室からセメントを持って現われ、
さらに医師の浮気性の妻のすがたが見当たらないことから
おだやかではない想像をし、気をもむが……。

うん、そうね、想定内ね、でも好きだ。

 運転席(Driver's Seat) E・クイーン

「クイーン検察局」に収録されています。
1951年「ジス・ウイーク」誌が初出。
EQMM1955年11月号に再録。

ちなみに。この訳だと姓が"メイフィールド"になってます。

 三人目の男(Autopsy and Eva) パルマー,ライス

この作品は紹介しにくいな。特徴のないふつうの殺人事件でね。
犯人を断定する推理プロセスは見事なんだけれども。

なので、作者について。
スチュアート・パルマーとクレイグ・ライスの合作第3作。
探偵役の共演も目玉なのですよ。
ヒルデガード・ウイザースとJJマローンの。

 雇われ探偵(House Dick) D・ハメット

コンティネンタル・オプもの。
モントゴメリイ・ホテルの906号室の衣装戸棚から、
3人もの男の他殺体が飛びだしてきた。
持ち物は荒らされてなく金目当てではない。共通点もない。
難航する捜査だが、やがて暗黒街の大物の影が浮かびあがり……。

ハードボイルドの典型ですね。
死体発見のインパクトはすごいが、真相は(^^;

 エメラルド(True or False) M・イネス

ジョン・アプルビイ警視もの。
老侯爵夫人は宝石に興味がなく、
王から贈られた高価すぎるエメラルドをもてあましていた。
そこで模造品を作らせ、盗難の対策をしたところで
さっそく(?)それが盗まれてしまって大笑い。
しかし、あずけてあった本もの宝石が
模造品であると鑑定されてしまい――

 喜歌劇殺人事件(The Comic Opera Murders) J・ヤッフェ

ヤッフェといえば弱冠15歳でEQMMに学校の自由作文を
寄稿し採用されたエピソードで有名ですね。
物語はユニークな書簡のやりとりからはじまります。

事件は喜歌劇団の歌手ウイロウの死から幕を開けた。
ウイロウはハドソン河で溺死体で発見され、
その翌日、犯行をほのめかす投書が届けられる。
そこには"最高死刑執行官"と無気味に署名されていた。

その数日後、劇団の所有主が舞台上で毒殺される。
すぐに届けられる"最高死刑執行官"からの手紙。

さらに2日後、劇団の楽屋の一室で団員がおそわれ、
すぐに大勢がかけつけたが、犯人はすがたを消していた。
そして当然のように舞いこむ"最高死刑執行官"からの手紙。

犯人は密室からいかにして脱け出すことができたのか?
"最高死刑執行官"の正体、思惑とは?

 ジャラッキ伯爵釣りに行く(Count Jalacki Goes Fishing)
  T・ストリブリング

ポジオリ教授もの。
ポジオリのもとにかかってきた電話は伯爵夫人からのもの。
彼女の夫ジャラッキ伯爵は生粋の科学者で、
特許権をめぐり彼女の父と仲たがいをしており、
病身の父のようすを定期的に報告してくれという依頼だった。
不審な点もあるものの、承知して報告をはじめる。
数日後、取り乱している伯爵夫人から電話がかかってきた。
夫が釣りに行ったのですぐに来てくれという。
なんでも研究一筋のジャラッキ伯爵がそんなことをするのには
かならずそれ相応の理由があるというのだ。
すぐにかけつけたポジオリ教授はおそるべき計画をしるが――


8月号

 夢みるなかれ(Dream No More) P・マクドナルド

ジョンは尊敬する哲学博士を連れて実家へ帰省した。
ジョンの母はこの客人をこころよく思っていなかったが、
徐々に受けいれた態度を見せるようになり安心するジョン。
しかしこの教授、なにやらよからぬことをたくらんでいるようすで……。

なんだこのへんな物語、おっかしい!(w

 おとなしい兇器(Lamb to the Slaughter) R・ダール

刑事の夫のある告白を聞き、
衝動に駆られ殺害してしまった善良なる妻。
そこで妻がとった犯行の隠ぺい処置とは?

これ読んだことあるな、あちこちにありそうだな。

 被告(The Accused) E・クイーン

「クイーン検察局」の「ライツヴィルの盗賊」と同一。
しかし、原題変わってるわね。

 お宅のお庭はどうしたの(How Does Your Garden Grouw?) A・クリスティー

エルキュール・ポアロもの。
ポアロのもとに届いた手紙は、
ある老婦人からのデリケートな家庭問題の相談だった。
その返事をした矢先、老婦人は突然死してしまう。
念のため相手の邸宅へ赴いたポアロは不審な印象を抱き――

ううん、核を見出せないな。お庭がポイントではあるけれど。

 水中の死体(The Body in the Pool) R・キング

還暦間近の未亡人が、自宅裏庭の海岸づたいの岩穴に、
ある大物悪党がべつの大物悪党を沈めている場面を目撃した。
その証言により、犯人は電気椅子へ座ることに。
一年後、未亡人の前に犯人の娘が復讐にあらわれ――

なんだかはっきりしない作品が多いぞ(^^;

 ジャラッキ伯爵への手紙(A Note to Count Jalacki) 

創刊号の続編。あらすじはネタバレしそうなのでカット。

 男子専用(For Men Only) R・ヴィカーズ

豪華ヨットの《アスタート》号の船内で殺人が発生。
乗客は魔性の女優とその恋人、女優の昔の恋人4名の計6名。
彼女の誕生日パーティ中の悲劇だった。

中編。地味ながらフーダニットの好見本です。
も少し短縮して短編でちょうどいい気もするけど。


9月号

 暗い旅路(Dark Journey) F・アイルズ

アイルズらしいシンプルな倒叙もので、
アイルズらしい結末が待ちうけた傑作。
殺人者の身勝手な心理を堪能しましょう。

 ウィリアム・ウィルソン事件(William Wilson's Racket) J・D・カー

マーチ警視もの。
ヤードのマーチ警視の前に名門の令嬢が闖入してきた。
彼女の婚約者が週刊誌のある広告を見るや、
ようすがおかしくなり、ついには失踪したという。
そこで彼女は広告にあるオフィスに出向いてみると
婚約者が若い赤毛の女とよろしくやってるところだった。
血相を変えた令嬢はきびすをかえし部屋を飛びだしたが、
すぐに冷静になりあらためて乗りこむと、
彼は洋服や持ち物だけを残し、すがたを消していたのだった!

タイトルだけでピンとくる人もいるでしょう。

 12の紫水晶(The Riddle of the 12 Amethystes) S・パルマー

ヒルデガード・ウイザースもの。
ウイザースは昔の教え子ウイリーを夕食に招待した。
先日届いた手紙からウイリーに悩みがあると見抜いたのだ。
その悩みとは、彼の昔の恋人ディーアドルの夫ジョージに
毎月 紫水晶がひとつずつ送りつけられ、
そのたびにジョージは半狂乱になり
銀行預金から現金が引きだされるというのだが……。
この脅喝事件にウイザースが挑む。

 賭博クラブ(The Gambler's Club) E・クイーン

「クイーン検察局」に収録。

 ポウ廟の殺人(Murder at the Poe Shrine) N・タイア

ポウ記念館で殺人が発生した。被害者はポウの扮装をしていた。
参観者は記名が義務づけられており、
そこには"エディ・ポウ"と"ギュス・ディパン"の名もあった。
記念館の案内・管理人のミス・ウィルスンが
ポウに想いを馳せながら事件の解析をこころみる。

ポウづくしの短編。ファンにはたまらんかと。

 エメラルド色の空(The Case of the Emerald Sky) E・アムブラー

ヤードのマーサー副総監にある事件について意見があると
面会を要求するチェコスロバキア人のチサール博士。
マーサーはこの非公式探偵をにがにがしく思っていたし、
事件もわかりきった毒殺事件だったので、うんざりするばかり。
しかし、彼の話を聞くうちに事件はちがった側面を見せはじめ……。

ポパイもビックリだぜ、こりゃ。

 悪者は俺に任せろ(I Always Get the Cuties) J・D・マクドナルド

キーガン刑事があつかった事件譚。
ある夫妻の妻が絞殺された。商用旅行から帰宅した夫が、
死後2週間ほどした屍体を発見したのだ。
当初は空き巣に殺害されたものとみられていたが、
しらべがすすむにつれ、夫の容疑が強くなる。
しかし、妻の殺害された期間に夫は入院しており、
鉄壁のアリバイがよこたわっていた――

アリバイ崩しのハウダニット。類似品は数多いですな。

 後ろを見るな(Don't Look Behind You) F・ブラウン

男の理想像のようなハーレイと、
平凡を絵に描いたような小男ジャスティン。
ふたりはあるきっかけで知りあい、紙幣偽造に手を染めた。
順調に事はすすんでいたが、ある日ハーレイが何者かに殺害される。
ジャスティンは奇抜な方法で復讐を誓うのだが――

メタミステリ。
これ、子どもが読んだらトラウマになりそうだな(;´Д`)

 ワグスタフ家の真珠(The Wagstaff Pearls) M・G・エバーハート

ワグスタフ家の遺産管財人の銀行家ジムは真夜中の電話に起こされた。
相手は彼の秘書で、真珠のことをほのめかし飛び降り自殺してしまった。
ジムはすぐに銀行の金庫室へたしかめに行くと、
その財のひとつの真珠が偽物と掏りかえられていることを知る。
彼女は良心の呵責に耐えかねて自殺らしい。
だが、ジムの心には引っかかるものがあり……。

文脈、主人公が参るくらいクールな作品。惚れ。

 追いつめられて(Hunted Down) C・ディケンズ

生命保険会社の社員サンプスンは客の男に目をとめた。
見たところ慇懃な物腰で隙のない人物だったが、
彼はいやな、漠然とした嫌悪感さえ抱いた。
やがて彼との交友が重なり、ある疑惑が形づくられていく。

髪の分け目の観察、表現が妙すぎる(w
さすがは文豪の探偵小説といったところ。
Ellery Queen's 1962 Anthology 1961 

「EQMMアンソロジーI」村上啓夫・他訳 (ハヤカワ・ミステリ)
『EQMMアンソロジーT』はE・S・ガードナー、アガサ・クリスティー、
ニコラス・ブレイクといった探偵小説界のベテラン作家をはじめ、
シンクレア・ルイスやマッキンレイ・カンターのような、
国際的に有名な文壇作家の創造した名探偵たちに重点をおいて編集した、
いわば最高の作家による最高の名探偵小説集である。
読者は本書から愛すべき名探偵たちの風貌や、推理法や、
捜査ぶりなどを親しく知ることができるだろう。 
これらの作品はすべて、高度の内容と独創性という
二つの基準によって選りすぐった珠玉の短篇である。
本書は変化に富んだ楽しい〈EQMM傑作選〉であると同時に
文字どおり、名探偵たちの脳髄に触れることのできる、
すぐれた名探偵アンソロジーになっている。

 緋の接吻(The Case of the Crimson Kiss) E・S・ガードナー

弁護士ぺリイ・メイスンもの。
デインとの結婚を明日にひかえるフェイ・アリスンと
その同居人アニタ・ボンサル。
階上には金持ちの遊び人クレメンツが住まい、
アニタはその情婦だったが、
その日、クレメンツが毒物で死んでいるのを発見。
世間にこの関係が知れわたることをおそれたアニタは
ひそかに懸想していたデインへの嫉妬もまじり、
フェイの身のまわりの物をクレメンツの部屋に入れ、
フェイが犯人であるかのように工作をするが……。

タイトルは口紅のキスマークを指す。
唇紋だけで解決するのもなぁ。

 お宅の庭は?(How Does Your Garden Grow ?) アガサ・クリスティー

「復刻EQMM」にも収録。

 ハント荘の客(Guest in the House) ジョン・ディクスン・カー

ハント氏は3枚の高価な絵画を食堂に飾っていた。
それまでは施錠した部屋に厳重に保管していたが、
最近、警報器を解除したり保険にも入らずと、
まるで盗んでくださいといわんばかり。
はたして深夜に覆面の泥棒が現われ、
犯行中、何者かに刺殺されてしまった。
覆面をとりはずすと、そこにはハント氏の顔が――

フェル博士もの。
こんなのも推理できないとなんか落ちこむ(^^;

 鉢の底の果物(The Fruit at the Bottom of the Bowl) レイ・ブラッドベリ

夜中の12時。
ウィリアム・アクトンは今しがた人を殺めたばかり。
パニックに襲われつつも犯行――指紋――の
こん跡を消すため、じっくり"掃除"をはじめた……。

展開も言い回しもおもろい。よっ、奇人ブラッドベリ。

 暗殺者(The Assasin's Club) ニコラス・ブレイク

ナイジェル・ストレンジウェイズもの。
判事や弁護士、警視庁の代表者、
そして探偵小説作家で構成される暗殺者クラブ。
その晩餐会のさいちゅう数分の停電が起こり、
灯りが点るとひとりの作家が刺殺されていた。

文字通り暗殺者。やはり詩的表現が優。

 褐色のセダン(The Trail of the Brown Sedan) マッキンレイ・カンター

殺人犯の護送中、駅を出た刑事たちが
褐色のセダンに乗ったギャングたちにいきなり射撃された。
駅の警備していたニコラス・グレナン巡査は追跡を開始。

スタンダートな警察小説。

 幽霊パトロール(The Ghost Patrol) シンクレア・ルイス

地域密着型のパトロール巡査ドナルド・ドーガン。
地元でも敬愛されていたが、ついに停年を迎え、
仕事人間だった彼はすっかり消沈していた。
同時期、夜中に警官の幽霊が
パトロールをしているとのうわさが立ちはじめ――

定年後の喜憂、万国共通みたい><

 七転八起(This Will Kill You) クレイグ・ライス

倒叙もの。
愛人と結ばれるため妻殺しを敢行する夫。
しかし、なんども失敗を重ね、しぶとく生存する妻。
その結末やいかに?

七転八起なのはどちらなのか(w

 誰もいえない(Nobody Can Ask That)
  フランシス&リチャード・ロックリッジ

ヘイムリッチ警部があつかった、とてもやさしい事件。
妻の浮気相手をステッキで殴殺した男。
男は警察に問われると、いさぎよく犯行を自供した。
しかし、この男に対して誰もいえないことがあった……。

ううん、構成の美ですな。

 完全犯罪(The Cream of the Jest) フレドリック・ブラウン

俳優サー・チャールズ・ハノーヴァー・グレシャムは
自己嫌悪になりつつ強請りで生計を立てていた。
あくる日、強請り相手が出演している舞台に
自分も出してほしいと訴えでるのだが。

まれにみる完全犯罪!スマートだし、見事な罠。

 登場人物を探す作者(Author in Search of a Character)
  フィリス・ベントリイ

列車内。作家のミス・マリアン・フィップスは
新作のヒロインの性格決定になやんでいた。
その向かいに座っていた男もまたなやんでいた。
彼は刑事で、たまたま車中で知りあった作家に
事件の相談をしいられ、
ある館で起きた転落死事件をしぶしぶ語りだす。

登場人物を探す作者……いいのか、あれで(^^;

 おまえの葬式だ(That's Your Own Funeral) コーネル・ウールリッチ

連邦警察に追われる夫妻の物語。
結末の"墓碑銘"が洒落てます(w

巻末には「編集者のおぼえがき」としてクイーンが一筆。
Ellery Queen's 1962 Anthology 1961 

「EQMMアンソロジーU」佐倉潤吾・他訳 (ハヤカワ・ミステリ)
探偵小説に登場する名探偵たちは時代と共に変化し、
多種多様なタイプが生み出されている。
EQMMアンソロジー第二巻は第一巻と同様、
レックス・スタウト、エラリイ・クイーンといった有名作家をはじめ、
アーサー・ミラー、フェレンツェ・モルナールのような
国際的文壇作家の創造した名探偵十一人を集めた。
いわば最高の作家による最高の名探偵小説集である。
読者は本書から愛すべき名探偵たちの風貌や、
推理法や捜査ぶりなどに親しく接することができるでしょう。
第一巻につぐ独創的な名探偵アンソロジー!

 ワールド・シリーズの殺人(The World Series Murder) レックス・スタウト

ネロ・ウルフもの。
ワールド・シリーズの観戦中に、毒物混入事件が!
体調を崩したN軍は大敗、さらにロッカーから他殺体が発見される。
どうやら勝敗の賭博のもつれの犯罪のようなのだが……。

めずらしく安楽椅子探偵ウルフが現場にいるのですよ。
なぞ解きの手がかりも非常に良質で、
また、結末に新たに出現するミステリも見事(w

 泥棒をとらえてみれば(It Takes a Thief) アーサー・ミラー

シェルトン夫妻宅に泥棒がはいった。貴金属と多額の現金が盗まれたのだ。
だが、夫妻の態度はどこか不自然で――

 クリスマスの盗難(Mystery for Christmas) アントニイ・バウチャー

クリスマスのハリウッド。
映画作家の前にあらわれた作家志望の警察官。
持ちこまれた原稿には宝石盗難事件が描かれているが、
結末は未完で、映画作家に相談しにきたのだ。

ミッキ・モイザリッヒ(w

 権謀術数(The Best Policy) フェレンツェ・モルナール

銀行頭首に届けられる告発状。ある出納係が不正を働いているという。
さっそく調査するも、そのような痕跡は一切なし。
告発状はでたらめなのだろうか?

どっかでこれ読んだことあるよなぁ、思いだせん><

 鉄柵にぶらさがつた男(The Man on the Iron Palings)
  レスリー・フォード(デイヴィッド・フロム)

ミスタ・エヴァン・ピンカートンはみずからに言い聞かせた。
人通りのない道脇の鉄柵に死体らしきものを見たが、錯覚であると。
彼はその状況から自分が疑われるのをおそれたのだ。
だが捜査の手は彼まで伸び、潔白を晴らすため探偵を開始する。
(ん? 潔白を晴らす???)

 午前四時(Four A. M.) メアリイ・ロバーツ・ラインハート

看護婦アン・エリザベス・ワードは、ある患者のことで頭を悩ませていた。
その女患者は午前四時になるとベットを抜け出し表通りを眺めていた。
注意しても逆上し、理由の説明もしない。
そんなあくる日、その表通りに銃声が響きわたり、男が射殺され――

 小鳥たちはまた歌う(And the Birds Still Sing) クレイグ・ライス

J・J・マローンもの。
刑事弁護士マローンのひさびさの依頼人モーナが殺された。
容疑者は賭博師エディ、モーナは彼の情婦だった。
マローンはエディの弁護を引きうけるが、
べつの女性リアノーラが自首をし、またしても仕事を逃してしまう。
今度はリアノーラの弁護をすべく、マローンは話を聞く。
彼女は不眠症で夜明けの小鳥のさえずりに悩み、
寝ぼけ半分で撃ち殺そうとしたら偶然モーナに当たったと主張するが……。

難易度の低いフーダニットかと思いきや、一ひねりあってグウ。

 賭博クラブ(The Gambler's Club) エラリイ・クイーン

「クイーン検察局」にも収録。

 豹の女(The Leopard Lady) ドロシイ・L・セイヤーズ

本屋での幻聴、雑誌での幻視にいざなわれ、ある組織と接触した主人公。
その組織はじゃまな人間を"引っ越し"させる仕事をしていて――

ダークファンタジー(;´Д`)こわい

 黒い台帳(The Black Ledger) エラリイ・クイーン

「クイーン検察局」にも収録。

 物言う子牛(The Talking Calf) ヒュウ・ペンティコースト

少年ジェラードは子牛チャーリーの鳴き声で目を覚ました。
彼はその直前、競売される牛の檻の中で老人の死体を発見し、
犯人らしき人物の手によって意識を失わされたのだった。
町では家畜の盗難事件が相ついでおり、
老人はその真相を知ったため口封じされたらしい。
家畜競売所での殺人事件の真相は?

シンプルゆえ、複数の筋道がしめされるのがいい感じ。
ただ、きれいにまとめてるけど子牛はいうほど役立ってねえ(w
Golden Dozen 1949 

「黄金の十二」黒沼健・他訳 (ハヤカワ・ミステリ)
1949年、ミステリ作家としてばかりでなく、
短篇ミステリの書誌学者としても知られる
エラリイ・クイーンは、面白い企画に着手した。
ミステリに通暁した作家、編集者、評論家、読者らにアンケートを実施し、
その結果をもって最高の短篇ミステリを選ぼうと考えたのだ。
H・ヘイクラフト、J・D・カーら、
クイーンの企画に賛同した十二人が回答を寄せ、
各々十二篇の傑作を推薦した――
その結果、ここに、傑作中の傑作、十二篇が勢揃いした。
これぞ、珠玉の中の珠玉。短篇ミステリの魅力の総てがここにある。

ミステリ通の人たちの意見を集約し、権威ある、
ベストと称するに足る短編探偵小説を選んでみようと思い立ったQ。
そこで、作家、評論家、出版関係者、愛読者をふくめた24名に、
ポー以来現在までの傑作を12編選ぶよう依頼した。
解答を寄せたのは半分の12名で、
アントニイ・バウチャー、ハワード・ヘイクラフト、ディクスン・カー、
ジェームス・サンドウ、ジェームス・ヒルトン、チャールス・ホンス、
ヴィンセント・スターレット、オーガスト・ダーレス、リー・ライト、
ルウ・D・フェルドマン、ヴィオラ・ブラザース・ショアー、
そしてクイーン。
かくして珠玉の「ゴールデン・ダズン」が誕生。


 オッターモール氏の手(The Hands of Mr.Ottermole) トーマス・バーグ世界短編傑作集4」にも収録。

 ぬすまれた手紙(The Purloined Letter) エドガー・アラン・ポー

「クイーンの定員」でふれたのでパス。有名すぎるし。

 赤毛組合(The Red-Headed League) アーサー・コナン・ドイル

「クイーンの定員」でふれたのでパス。有名すぎるし。

 偶然は審く(The Abenging Chance) アンソニイ・バークレイ

「毒入りチョコレート事件」の原型。
短編なので名物の推理合戦はありませんが、
これはこれでよくできてます。テーマもちがうし。

 健忘症連盟(The Absent-Minded Coterie) ロバート・バー

探偵ウージェーヌ・ヴァルモンのアパートに
友人でヤードの刑事スペンサー・ヘイルが
最近、問題になっている通貨偽造事件の相談にやってきた。
ヘイルは部下のポジャーズを容疑者の家に召使として潜入させていたが
犯人一味を挙げる決定的な証拠をつかめずにいたのだ。
ヴァルモンはポジャーズを呼びよせ、いくつか質問をすると
その容疑者は事件に無関係であるといいだした。
しかし、事件は思わぬ方向へ流れはじめ――

ヘイルの無神経なキャラがいいなあ(w

 13号独房の問題(The Problem of Cell 13) ジャック・フットレル

"思考機械"の異名をもつヴァン・ドゥーゼン教授。
ささいな討論から彼は思考の力で牢獄からでも脱出できると断言。
そこで実験が行なわれることに。
死刑囚を収容する監房に入り、一週間以内に脱出を約束した。
彼が要求したものは3つ。歯磨粉と紙幣(25ドル)と
靴をいつも磨いておくというへんてこな条件ばかり。
……そして一週間後、彼は脱出に成功する。はたしてその手段とは?

 犬のお告げ(The Oracle of the Dog) G・K・チェスタートン

ブラウン神父もの。
密室状況の庭の東屋風離れ(サマーハウス)でドルース老大佐が刺殺された。
兇器は短剣らしきものらしいが現場からは見つからず。
一方、現場付近でドルースの弁護士がドルースの愛犬に吠えたてられていた。
このシーンを目撃した大佐の友人は
告発なのではとブラウン神父に話すが……。

 ナボテの葡萄園(Naboth's Vineyard) メルヴィル・D・ポースト

「クイーンの定員#060」でふれたのでパス。

 ジョコンダの微笑(The Gioconda Smile) オルダス・ハックスレイ

ハットンは病弱な妻エミリーとの生活に不満がくすぶり、
不貞を働きつづけていた。
ある日、夫妻の知人ミス・ジャネット・スペンスを招待した夜、
(ハットンは彼女特有の微笑をジョコンダの微笑と評していた)
エミリーの病状が突然悪化し、急死してしまう。
このできごとがハットンとジャネットの間に影響を与え――

……ああ、モナ・リザなんだ。

 黄色いなめくじ(The Yellow Slug) H・C・ベイリイ

肥大漢の医者レジイ・フォーチェン氏は病院にかけつけた。
そこには池に溺れたおさない兄妹エデイとベッシイが運びこまれていた。
エデイには玩具のボートと教会の献金箱を盗難した過去があり、
今度はベッシイを池に突き落としたあと、自分も死のうと飛びこんだらしい。
この陰鬱な事件にベル署長がフォーチェン氏に出馬を要請。
少年の近辺を調査していると、
少年の家に下宿していたワイヴン夫人が失踪していると判明。
やがて夫人が死体で発見され、エデイに疑いの目が向けられるが……。
フォーチェン氏は夫人のスカートになめくじが這ったあとを認め、
これが事件の決定的証拠になるというのだが。

 ほんものの陣羽織(The Genuine Tabard) E・C・ベントリイ

フィリップ・トレントはアメリカ大使館主催の夜会の席上で
ラングリイ夫妻と出会い、その話に耳をかたむけた。
夫人は近ごろ由緒ある寺院の歴訪に熱中しており、
その旅行中、ある僧院の墓石の墓碑銘に目をとめた。
それは最初の平和条約にひと役買った人物のもので、
その筋の収集家であるラングリイは同人物が着用したという
陣羽織(タバード)を高額で買い取ったのだ。
しかし、トレントはこの話に疑問を抱くのだが――

縁のない紋章学がおもしろいですね。

 疑惑(Suspicion) ドロシー・L・セイヤーズ世界短編傑作集4」にも収録。
Ellery Queen’s the Golden 13 1970 

「黄金の13/現代篇」宇野利泰・他訳 (HM文庫)
1945年より開始されたEQMM年次国際コンテストからは
毎年最高作が選出され、その数はついに13篇にのぼった。
シムノン、カー、ウールリッチなど多士済々の作家、
本格、サスペンス等の多彩な作品群――
本書は鑑賞家クイーンの卓抜な識見と
情熱なくしては生まれ得ないミステリ・アンソロジーの金字塔である

EQMM誌主催、国際コンテストで第一席を獲得した13の作品集。
この国際コンテストは1945年にはじまり、1956年まで行なわれました。
それでは12作品じゃないか、とつっこまれそうですが、
(5年の中断後)1961年に13回目が催され、それが最後。
第一席といっても、選考は熾烈を極めたようで、
Qのまえがきの編者としての苦悩(愚痴)も笑えます(w

では見事に国際コンテスト第一席を獲得した収録作品を紹介。
ちなみに、ちゃんと年代順です。

 戦士の星 A Star for a Warrior マンリイ・ウェイド・ウェルマン

アハイ!インディアンのデイビッド・リターン青年は
原住民管理局警察部に着任したばかり。そこにさっそく事件が起こる。
インディアン文化(歌謡)の研究者の女性が殺害されたのだ。
容疑者は3人のインディアン。新米の彼は真相にたどり着けるのか?

インディアンの風俗が貴重な作品です。

 名探偵、合衆国大統領
  The President of the United States, Detective H・F・ハード

アメリカ人が大好きな大統領もの。
ソ連の"世界制覇"のトリックと
アメリカの対抗策が衝撃的な一作。
発表当時はSFチックながら、現代だと……。
大統領のキャラ造形が人気の秘訣か(w

 裁きに数字なし Justice Has No Number アルフレッド・セグレ

イタリアのバレル=オルガン奏者バスティア。
相棒のパスクァリーノとカバラの数字を手に、
首なし死体と陰謀の謎に挑む!
ワトソン役(パスクァリーノ)が最高です。どうしてさ?(w

 幸福なるかな、柔和なる者 Blessed Are the Meek ジョルジュ・シムノン

雨の街に老婆七人を殺害した殺人鬼が徘徊している。
主人公の仕立屋の小男カシュダは、
向かいの雑貨商の店主こそが犯人であると確信するが……。
動機はアレだけど、フラミスらしい雰囲気勝負の作品。

 パリから来た紳士 The Gentleman from Paris ジョン・ディクスン・カー

これはね、クイーンも序文を避けて
あとがきにするくらいネタバレ抜きでは語りにくい(^^;
事件は密室での遺書消失ものです。
ああ、あざやかで膝を打ったも、これが本書のマイベスト。

 敵 The Enemy シャーロット・アームストロング

少年フレディの犬が毒殺された!
少年と仲間たちは、近所の中年親父マトリンが犯人だと大騒ぎ。
だが、マトリンも負けじと濡れ衣だと大騒ぎ。
少年たちの敵は本当にマトリンなのか?

うう、ラストで不覚にも涙(´;ω;`)教科書に載せるべ

 アデスタを吹く冷たい風 The Cold Winds of Adesta トマス・フラナガン

テナント少佐と武器密輸業者ゴマールとの戦い。
固ゆでというか漢小説というか(^^;
やはり荒涼な作風、人間描写の作品ですね。

 追うものと追われるもの My Brother Down There スティーヴ・フレイジー

脱獄囚4人と保安官の捜索隊――人間狩りの物語。
心理(内面)の活写はほれぼれするけれど、
これもミステリなのかなぁ(^^;

 二重像 Double Image ロイ・ヴィカーズ

ファンショウ夫妻の夫ジュリアンにそっくりな人物が突然 現れた。
はじめはわずかに目撃されていただけなのだが、
そのうちに金を無心したり、ついには殺人まで……。
ジュリアンには双生児がいたが、生後すぐ死亡しているという。
はたしてなんらかの偶然で生存していたのか?それとも?

逆双子トリック、なかなかに新鮮でした(´ω`)

 決断の時 The Moment of Decision スタンリイ・エリン

クイーンの定員#113でも触れているので割合。
リドル・ストーリーです。ドキドキ。

 黒い小猫 The Black Kitten A・H・Z・カー

鰥夫の牧師と一人娘のエレン、そしてペットの黒い小猫。
ある日、牧師が説教の作文を執筆しているとき、
うっかり子猫を踏みつぶしてしまった。
そして、虫の息の子猫をいっそ楽にさせようとしたところを、
エレンに目撃されてしまう……。"内なる擾乱"を喚起させる一作。

 物は証言できない
  The Necessity of His Condition エイヴラム・デイヴィッドスン

1850年、アメリカ南部。ドレイ売買人の顛末を描いた話。
権利と尊厳、ともすれば忘れがちな当たり前のこと……。

 一滴の血 One Drop of Blood コーネル・ウールリッチ

二股をかけていた男が片方の女と婚約を決めた後、
もう片方の女が身ごもったと伝えてきて、激情し殺害、
という明快なストーリー。
犯人にも探偵にも名前がない、倒叙の好見本。
アイリッシュらしさも損なわれていない一品です。
Ellery Queen's Veils of Mystery 1980 

「クイーンズ・コレクション 1」
山本やよい・山内三枝子・他訳 (HM文庫)
「アメリカの探偵小説そのもの」と言われたクイーンは、
新人作家や埋れた短篇の発掘を精力的に行った。
本書は、EQMM誌に発表された秀作を集めて
'46年から刊行され始めたアンソロジーの'80年版である。
収録作品は、スタウト、アシモフ、フィッシュ等が、
各人各様自由自在にミステリの世界を繰り広げる21篇

 殺人鬼はどの子?(Eeny Meeny Murder Mo) レックス・スタウト

最初(これ)と最後の作品は中篇、ほかは短編。
ネロ・ウルフものです。
ウルフの事務所で発生した殺人事件。
容疑者は弁護士事務所の3人で、離婚訴訟での裏切り疑惑もある。
面目をつぶされたウルフは激怒し、探偵開始。

 罠に落ちた男(Man in a Trap) ジョン・D・マクドナルド

平凡な中年男が銀行強盗をもくろむ一味にカージャックされた。
彼を救うヒーローはあらわれるのか、彼自身なのか?

 ウォーム・アンド・ドライ(Warm and Dry) エドガー・ウォレス

ヤードのミンター警視が語るある犯罪者の話。
ウォーム・アンド・ドライ、っていろんな意味あるわね(^^;

 池(The Pond) パトリシア・ハイスミス

ホラー。夫を旅客機事故で亡くしたエリナーと4歳の息子クリス。
心機一転をはかるため引っ越した家には池があった。
なにか心を惹きつける、ぶきみな池が……。

 やっぱり刑事(Still a Cop) ジェイムズ・ホールディング

ライブラリイ・コップ。図書館の刑事のサガ。

 ジョーに復讐を(Paying Joe Back) リチャード・レイモン

リボルバー片手に酒場に乗りこんできた老婆!
昔、自分を袖にした店主に正義の復讐に来たのだ!

 ちびっ子盗賊団(The Merry Band) マイクル・ギルバート

少年犯罪者たちのストーリー。
ルパンのような義賊なのだが、罪は罪で――

 村の物語(Tales from Home) L・E・ビーニイ

2章仕立て。約束を守った男と社交を捨てた女の話。

 おせっかい(Advice, Unlimited) ダグラス・シー

作家とその作品の科学的誤謬を指摘する読者との手紙の応酬。
やがて深刻な事件に発展するが、迷宮入りに?(w

 ロシア式隠れ鬼(Hide-and-Seek ― Russian Style) パトリシア・マガー

スパイもの。
ロシア当局が隠蔽しつづける大詩人の最後の詩を押収せよ!

 イタチ(The Weasel) ジャック・P・ネルソン

無罪のためなら手段をえらばぬ刑事弁護士。
ある殺人犯をも無罪放免にしてしまう。その代償とは?

 ロレーヌの十字架(The Cross of Lorraine) アイザック・アシモフ

黒後家蜘蛛の会(ブラック・ウィドワーズ)もの。
ゲストの秘術師が偶然知り合った女性が
バスの移動中にすがたを消してしまう。手がかりは‡

 白い出戻り女の会(An Evening with the White Divorcees)
  ジョン・L・ブリーン

白い出戻り女の会(ホワイト・ディヴォーシーズ)もの(w うえのパスティシュです。
三原則を無視したロボットが起こした殺人事件の真相は?

 破滅の訪れ(The Living End) デイナ・ライアン

ネルとエマ。ふたりは学生時代の親友だった。
そして月日は流れ退職間近の今、ネルは彼女に部屋を貸すのだが……。

 不幸にお別れ(Problems Solved) プロンジーニ&マルツバーグ

身の上相談室に寄せられる空想での殺人に悩む相手。
ついには相談員を脅迫し、事態はとんでもない方向へ――

 魔法のカーペット(The Magic Carpet) シリア・フレムリン

高層アパートに住むヒルダ。彼女は若く、双子の母でもある。
その幼い双子は元気盛り、ぴょんぴょん遊んでは
隣人たちから騒音の苦情が殺到。が、ヒルダは音をあげなかった。

 閉じた環(Full Circle) ジョン・ボール

ウォルターはなんでもそつなくこなす隣人フレッドに
劣等感をつのらせ、身勝手な殺害を計画した。
彼を待ち受けるその酬いとは?

 仲間はずれ(The Odd Man) エラリイ・クイーン

「間違いの悲劇」で書いたのでパス。

 秘密のカバン(In the Bag) ロバート・L・フィッシュ

金庫破りの一夜物語。コロン街に行くべきかどうか(w

 危険の報酬(Dangerous Enterprise) ウィリアム・バンキア

有望株の野球選手マーティン・ミリガン。
だが強打者の打球を額に受け、選手生命は終わりを告げた。
生活は荒れはじめ、妻には三行半を突きつけられる。
そんななか、酒場で知り合った男女に誘拐の話を持ちかけられるが――

なんか、せつないような奇妙頂礼な味の話が多いです。
Ellery Queen's Circumstantial Evidence 1977,78,80 

「クイーンズ・コレクション 2」佐宗鈴夫・他訳 (HM文庫)
本書には現代ミステリの最高水準をいく作家が顔をそろえている。
バーバラ・オウエンズのMWA短篇賞受賞作をはじめ、
ジョイス・ポーターのドーヴァー警部もの、
ブライアン・ガーフィールド得意のスパイ小説、
パトリシア・ハイスミスの珠玉サスペンスなど、
いずれも力作ぞろいである。クイーンならではの傑作集

 軒の下の雲(The Cloud Beneath the Eaves) バーバラ・オウエンズ

新規まき直しを誓い、独立で新生活をはじめたアリス。
彼女の日記からあぶりだされる異様な過去と靄とは――

 いけにえの山羊(The Sacrificial Goat) トマス・ウォルシュ

ホテルの善良なボーイ・ラモンにかけられた窃盗殺人罪の罠。
ラモンはいいやつだ、P50の左側に表れてる、うんうん。

 ドーヴァー、カレッジへ行く(Dover Goes to School) ジョイス・ポーター

ヤードのウィルフレッド・ドーヴァー主任警部もの。
ドーヴァーはぜひ読みたいと思ってたけど絶版ばっかり。
今回が初めて、念願叶うですよ!
うわさにたがわぬ最低っぷりににんまり(w

事件は一般市民に公開されているカレッジの聖像学で発生。
コース受講者たちにきらわれていた色気ちがいが殺害される。
動機も機会もたっぷりある容疑者たちから
ドーヴァーは真犯人を見抜けるのか!?

 夢の家(Dream House) キャスリーン・ゴットリーブ

妻と死別し、乾燥した生活を送っていた中年の刑事。
知人に再婚をすすめられ、新居を構えるための土地を購入するが……。

 貝殻ゲーム(Charlie's Shell Game) ブライアン・ガーフィールド

一流の殺し屋どおしの正面対決!
肥満のスパイとクールな爆弾テロリスト、軍配は?

 忘れられた殺人(The Forgotten Murder) E・X・フェラーズ

未解決の殺人事件の連載記事を書くピーター・ハッスル。
ある小村で農業研究をしていた短気なアーミジャー博士殺しの
調査をはじめ、事件をよくしる奇妙な人物に出会う。真実はどこに?

 クロウテン・コーナーズ連続殺人(The Krowten Corners Crime Wave)
  スティーヴン・ワズリック

ここ、クロウテン・コーナーズはごく普通の町。
だが、住民を狙った連続殺人が発生する。
けど、保安官はあわてずあせらずのんびり捜査。
でも、まったく問題はなかったのだ。
そう、クロウテン・コーナーズはごく普通の町。

 思いがけぬ結末(One Thing Leads to Another) ハロルド・Q・マスア

生活費と養育費の不払いを警告する弁護士スコット・ジョーダン。
これが事件の発端だった。物事は動き、連鎖し、思いがけぬ結末へ。

 さよならをいわなくちゃ(I Can't Help Saying Goodbye)
  アン・マッケンジー

ホラー。9才の女の子がていねいに「さよなら」と
いったあいてがつぎつぎと事故死をとげて……。オチが><;

 スパイとローマの猫(The Spy and the Cats of Rome)
  エドワード・D・ホック

スパイもの。秘密伝達局の元局長ランドに白羽の矢が立った。
昔、因縁のあった男が不穏な動きをしているのだ。
非公式員としてローマへ飛ぶ彼を待ちうけるものは?

 巻きぞえはごめん(Count Me Out) アーネスト・サヴェージ

ハードボイルド。私立探偵サム・トレインは、
ある釣り場の解禁日に毎年 足をはこんでいた。
そこで毎年顔を合わせていた男バッキーが死亡してしまう。
事件に不審さを覚えるも巻きぞえはごめんと無関心を決めこむが――

 重婚夫人(Milady Bigamy) リリアン・デ・ラ・トーレ

歴史ミステリ。虚実のバランスが絶妙。
1776年4月、キングストン公爵夫人の重婚罪での裁判が題材。
18世紀英国の詩人、批評家、辞書編纂家の
サミュエル・ジョンスン博士が探偵役に、
「サミュエル・ジョンスン伝」のジェイムズ・ボズウェルがワトスン役に。

 壁に書かれた数字(The Writing on the Wall) パトリシア・マガー

シンプルな暗号もの。壁に書きのこされた数字郡。解読法は?

 運命の皮肉(Born Victim) ルース・レンデル

静穏な田舎町に新来者が現れた。彼女は都心型のあばずれで鼻つまみ。
主人公の夫妻の妻だけは彼女と仲良くなり、夫はただ辛抱する日々。
そんな折、夫のうっぷんは山となり、殺害を決意するのだが……。

倒叙ミステリですが、やあ、Qのいうとおり書きだしが効いてますね!

 支払い期日が過ぎて(Installment Past Due) ロバート・トゥーイ

バウチャーいわく、新ジャンルの不条理ミステリ。
これはスゴいわ、めまいがする、本書でベスト。
あらすじは借金取りと返済者のやり取りなんですが、
この会話のナンセンスなユーモアときたら!
もし、これを長編で延々とやられたら理性がとろけるな(w

 白銅貨ぐらいの大きさ(No Wider than a Nickel) ジャック・リッチー

撲殺された男がいたアパートは荒らされていた。盗まれたものはなにか?
探偵は5セント白銅貨ぐらいの大きさのものと推理する――
純粋な"推理"もの。

 ローマにて(When in Rome) パトリシア・ハイスミス

ローマ在住の官史の妻イザベラはシャワーをのぞかれ、
外出すれば痴漢に遭う、不満な生活を送っていた。
夫は無関心で浮気性、イザベラは狂言誘拐を思いつき……。

な、なんというか表現できない、どういう作品なんだろこれ(^^;

 もうひとりの走者(The Other Runner) ジョン・ラッツ

ジョギングを日課にしているふたりの中年男性アールとダン。
あくる日、ジョギング中にダンが心臓発作で死亡してしまう。
ダンが無鉄砲な走りをしたことにアールは腑に落ちず……。

似たような話を読んだことあるんだよな。アルレーだったかな。

 これが死だ(This is Death) ドナルド・E・ウェストレイク

子どもに恵まれず、妻に浮気され、首吊り自殺したエドワード。
そして、彼は幽霊になった。自分殺しの代償、死とはなにか?

 昔にかえれ(Going Backward) デイヴィッド・イーリイ

1890年代の生活模様を再現するため、廃墟に乗りこんだ職人の若者7人。
そこで自給自足の生活をはじめ、やがて彼らは話題になった。
あちこちから観光客がおとずれ、便乗商売が過熱、そして――
消費社会を諷刺したミステリ。
ラストで若者を殺した犯人ははたして他人なのか。

 現行犯(Caught in the Act) ビル・プロンジーニ

出張で8日ぶりに帰宅したルーミス。
そのとき、ちょうど玄関のドアから不審な男がすがたを現した。
窃盗の現行犯と確信したルーミスは誰何し男の身体検査と家捜しをするも、
盗まれたものは見当たらない。だが直観はなにかが盗まれたとゆるがぬまま。
いったい、男が盗んだものとはなんなのか?

 不可解な理由(Reasons Unknown) スタンリイ・エリン

タクシーに乗ったモリスンは運転手が旧友のスレードだと気がついた。
スレードは大企業に長年勤めていたのだがリストラに遭ったのだ。
その話がモリスンを呪いのように苦しめだし、やがて――

どうも、つかみどころのない奥妙な味の話が多いです。
The Cutting Edge(Vol.1) 1998 
The Best and Brightest Mystery Writers of the 90's from Ellery Queen's Mystery Magazine

「EQMM90年代ベスト・ミステリー 双生児」
中村保男・他訳 (扶桑社)
アメリカの伝統あるミステリー専門誌『EQMM』に
掲載された膨大な作品のなかから、
90年代を代表する作家24人の名作を厳選した、注目のアンソロジー登場!
ブラッドベリ、オーツといった現代屈指の小説家、
ブロック、ヴァクスなどの人気作家、
ラヴゼイ、ヒル、デクスター、レンデルといったイギリス勢、
ヒーリイ、マラーらによる私立探偵小説などなど、
最前線で活躍する作家たちによる短編のショーケース。
すべてのミステリー・ファンに贈る、
20世紀の掉尾を飾るにふさわしい傑作集、全2冊。

編纂者はジャネット・ハッチングズ。
EQMM本国版の編集長です。
前編集長エレノア・サリヴァンの死後、1991年に就任。


 ダヴィデを探して(Looking for David) ローレンス・ブロック

もと刑事のマシュウ・スカダーは街中でぐうぜん、
刑期を終えた殺人犯ホートン・ポラードに出会う。
ポラードは幼少期からダヴィデ像に魅せられ、
芸術を愛し成長するのだが……。

ホワイダニットです、彼が恋人惨殺にいたった理由の。
芸術って、ときどきへんなことになる!

 双生児(Death Cup) ジョイス・キャロル・オーツ

双子の兄弟のアラスターとライル。
アラスターは図太く乱暴でありながら処世術に長けた放蕩男で、
ライルは禁欲を美徳とする内向的でおとなしい青年だった。
ある時期、兄は親戚たちに借金をこしらえ夜逃げしたが、
数年後、伯父の葬式にひょっこり舞いもどってきた。
そしてまたもうまく立ち回り一族の財産を手中に収めようとしていた。
兄の正体を唯一見ぬいている弟はある単語に呪われた。
アマニタ・ファロイデス――
それは"死の器(デス・カップ)"と呼ばれるタマゴテングダケ。

倒叙ものですね。毒キノコで双子の兄殺しを決意する弟。
人間造形とぞっとする結末が秀逸。分裂が融合したとたんですぜ。

 クロンク夫人始末記(Disposing of Mrs. Cronk) ピーター・ラヴゼイ

殺し屋の斡旋をする男ジェイスン。
ある富豪をそそのかし、妻殺しの依頼を受けるが、
ジェイスンは詐欺師で前金だけせしめてとんずらする計画だった。
ところが……。

不謹慎でも気持ちのいいSS(w

 単独飛行(Solo) マーシャ・マラー

軽飛行機の教官ハイの生徒スコットが
初めての単独飛行テストで墜落死した。
どうしてもこの事故に納得いかないハイを見て、
恋人で私立探偵のシャロン・マコーンが
事故当日までのスコットの動きを調査することに。

ハードボイルド。
飛行機操縦の9割は精神的、感情的なものだそうです。
ふむふむ。

 動いているハーバート(Herbert in Motion) イアン・ランキン

ある上級学芸員は悩んでいた。
パーティの前に自殺するか、あとにするかで。
彼は慎重に慎重を重ね美術品の模造に手を染めていたのだが、
ある日、ときの首相が絵画を一枚所望し、
よりによって贋作を選んでしまったのだ。
そして開かれたパーティで目の利くゲストが招待されており、
彼の悪事が暴かれること必至だったのだ――

芸術って、ときどきへんなことになる!

 ヒマラヤスギの野人(Cedar Savage) ダグ・アリン

ヒマラヤスギの野人の異名をもつジャック・ラモット。
彼の甥カートと熊の密猟をしていたとき、
首吊り状態の死体を発見した。
死体はふたりの親類のノームだった。
ノームは麻薬の精製に浸かっており、
よからぬ連中とのトラブルの末と思われた。

漢ノベル。クールだ。

 善行(Guilt Trip) ヴァル・マクダーミド

私立探偵のケイト・ブラナガンは
中小ゲームソフト会社に偽物調査を依頼された。
通常の海賊版と反対に、そのメーカーのトラブルは
プログラムはからで包装は完ぺきというものだった。
なぜこんな事態が発生したのか?

 ドードーは死んだ(Dead as a Dodo) コリン・デクスター

モース主任警部もの。
しとしととした雨の帰り道の車内。
モースはフラットの隣人ワイズに出会い、拾うことに。
そこでワイズが語ったドードーという名の女性のふしぎな身の上話。

SSで、切れ味も弱いな。迷宮もない。

 つぎはお前だ(Out There in the Darkness) エド・ゴーマン

ビールと猥談とポーカーを楽しむため、
中年男の4人は毎週 各家庭に集合していた。
最近、近所で強盗事件が多発していたのだが、
4人が集まっていた家にその賊が現われた。
首尾よく捕らえることができたが、
ちょっとした展開とはずみで死なせてしまう。
4人は証券業界人でトラブルは極力避けたい。
そこで死体を隠ぺいするが、やがて無言電話が、
そして4人のひとりが不審な事故で死亡し……。

ちょっと調和的なんだな、なし崩し的なのに。

 クリスマスの正義(Yuletide Justice) ウィリアム・バーンハート

クリスマスに浮かれる世間に
弁護士ベン・キンケイドはいやけが差していた。
そこに事務所の隣にある質屋の主人がやってきた。
彼の店でボーナス用に用意していた現金400ドルが盗難されたという。
3人の店員が疑わしいが、身体検査でも見つからず。
現金はどこへ?

この物語は後半、まったくちがう発展をします。
霜降る冬にあったかい人心(;_;)

 ランポールと子守たち(Rampole and the Nanny Society)
  ジョン・モーティマー

弁護士ランポールはパブで、
3人の若い美女の話にこっそり耳をかたむけた。
彼女らはベビーシッターで、仕事のグチで盛りあがっていた。
一週間後、おなじパブで飲んでいると、
例のベビーシッターに居合わせたが今度はふたりだった。
聞き耳を立てていると、どうやらいなくなったひとりは
雇主の家で指輪を盗もうとした容疑で起訴されたという。
ランポールは弁護を買ってでるのだが……。

ミステリとしては手がかり隠してアンフェア、
小説としてはそのおかげでうまく納まってますが(w

 口を閉ざす女(Speak No Evil) ナンシー・ピカード

若い女性宗教家だけをロザリオや十字架、ヴェールなどで
殺害する、"デヴィル"と呼ばれる殺人鬼。
それを追うFBI捜査官ジョセフ・オーウェン。
このデヴィルの犯行を偶然目撃した女性がいた。
しかし、教団の彼女はある誓いを立てていた。
清貧、従順、純潔、そして、沈黙の誓いを。
ジョセフは彼女の口を開かせることができるのか?

着想がおもしろい。
科学でなく宗教を装置にしたのがうまいね。
独自のルールで織りなされる論理はいつだって魅力的です。
The Cutting Edge(Vol.2) 1998 
The Best and Brightest Mystery Writers of the 90's from Ellery Queen's Mystery Magazine

「EQMM90年代ベスト・ミステリー 夜汽車はバビロンへ」
深町眞理子・他訳 (扶桑社)
90年代の短編小説はヴァラエティーに富み、多くの実験が行なわれました。
このアンソロジーの意図は、今日のミステリー・ジャンルの視野を
できるだけ幅広く提供することです。そういう多様性の中に
90年代のキーワードを一つ見つけるとすれば、それは「質」です。
本書の寄稿作家全員が重要なミステリー賞の受賞者か候補者であり、
多くが作品をテレビや映画でドラマ化されています。
読者の皆様には、市場ではなく、創造性が優れた物語の進む方向を
示すということを本書で実感していただければ幸いです。

 ホール・イン・ツー(Hole in Two) ラルフ・マキナニー

バーロウ・ムーア教授は自宅でゴルフ・シューズを履いて
クローゼットに吊るされていた。殺人らしい。
彼はおしゃべりやマナーの悪さからゴルフ仲間をうんざりさせていて、
この日はなんとホール・イン・ワンをやってのけていた。
浮かれて帰宅した彼を殺害したのは?

な〜んかよくわかんない作品。紹介もかなりへん(^^;

 引きまわし(Perp Walk) アンドリュー・ヴァクス

6ページの掌編ノワール。刑事の犯人引きまわし一幕。

 銀幕のスター(Star of the Silver Screen) ジャニス・ロウ

もしも自分のもとを去ったらおまえを殺す――
大物ギャングの恋人はおびえていた。
しかし薬物におぼれた男の暴力に耐え切れず、
逃亡を実行するが――

読み終えたと同時に浮かびあがるタイトルがいい。

 名もなき墓(Unmarked Graves) ジョージ・C・チェスブロ

ヴェイルは夢見る。
もとCIA工作員、いまは芸術家のヴェイル・ケンドリー。
彼はNYの地下鉄の駅で中国人女が出産をしている場面に遭遇。
ヴェイルは手伝いをし、無事に赤ちゃんが生まれたとたん、
チャイナタウンに巣食う数人の中国人ギャングが現われた。
女は人身売買の被害者らしく、連れ去られてしまう。
ヴェイルは奪還を決意するが……。

アクション・ミステリとでもいいましょうか。
映像向きよね。

 衣装(Clothes) ルース・レンデル

宣伝コンサルタント会社の取締役アリスンは買物依存症だった。
対象はなぜか衣装だけで、衝動的に買い漁っては後悔する日々。
彼女はこの現状を打破できるのか?

おお、本一冊で苦悩する私には理解できんね、くやしい――!

 石の家の悲劇(In This House of Stone) ジェレマイア・ヒーリイ

私立探偵ジョン・カディは司教に呼ばれ教会へ。
先週、この教会の司祭が撲殺されたのだ。
司祭は聖人のような人柄で、ノートパソコンと
司祭の聖杯(カリス)(ゴブレット)が現場から消えていた。
犯人はなぜ司祭を殺害し、これらを持ち去ったのか?

うほっ、いいラスト。

 追憶(Remembrance) キャロリン・G・ハート

"追憶"の名の高価なネックレスが名士の屋敷から盗まれた。
容疑者は学生でこの屋敷の個人秘書のジュディス。
彼女の容疑を晴らすため立ちあがったのは、
もと新聞記者の大学教授ヘンリエッタ・オドワイヤー・コリンズ。
調査を続けると、この"追憶"は過去にも盗まれ、
一週間後に発見されるといういきさつがあると判明。
過去と現在の盗難事件の真相は?

こちらもいいラスト。法に則らないタイプが好みらしい。

 この葬儀取りやめ(The Cancellation) レジナルド・ヒル

私立探偵ジョー・シックススミスは
ミラベル伯母さんの隣人の葬儀に出席させられた。
霊柩車のなかで、葬儀屋で友人のルーから聞かされた
もうひとつ執り行なわれていた葬儀の話に興味を持つ。
これがやがてジョーをやっかいな事態へ巻きこむことに――

ユーモアミステリ。ドッグレースでも検査→失格だよな?(^^;

 キリストの涙(Christ's Tears) ケイト・ウィルヘルム

もと刑事のチャーリーと、もと心理学者のコンスタンス。
ふたりは夫婦で、道楽としての探偵業をしていた。
そこに訪れたのは神父と大使館員と前科者とその彼女の4人。
前科者は服役中、ある老人と親しくなり2通の手紙を預かった。
そこには約100年前に工芸品が埋蔵されたと書かれているらしく、
価値は値踏みのできないほどのもので、埋蔵場所の調査を依頼しに来たのだ。
さらにこの旨そうな話に合衆国政府代表の男と
チャーリーが現役時代に苦汁を嘗めさせられた
大物ギャングも参加し、宝捜しパーティは開始されたのだった。

コン・ゲーム。
宝の所有権も焦点なのですが、最後にはみごとに処理されます。

 夜汽車はバビロンへ(Night Train to Babylon) レイ・ブラッドベリ

シカゴ発の夜汽車のなか。
ジェームズ・クルーソーはバーの騒ぎに耳をすませていた。
ディーラーがいかさま(スリーカード・モンテ)を
働いてるのを見抜き、客たちに注意をうながすのだが……。

実体験にもとづいた話らしい(^^;

 無宿鳥(Bird of Paradise) ジョン・ハーヴェイ

男は泥棒。
ジェリー・グラビアンスキは2枚の絵画をねらっていた。
そんな彼をレズニック警部がねらっていた。
女は修道女。
シスター・テレサ・ウィンブレルは社会福祉の毎日。
ウィンブレルはシギの一種の鳥の名前。
おもいがけず両者は接近し、ある効果を生むが――

ルパン系というか、義賊的なスタイル。
結末がかっこよろし。アバウトっちゃアバウトだけど。

 ルミナリアでクリスマスを(Luminarias Make It Christmas-y)
  ジャネット・ラピエール

偏屈な老婆ルーシー・マグヌーソンは愛犬ニックと
人里離れた崖のうえでひっそり暮らしていた。
そこにめずらしく客人が現われた。
若い男女で、バプティスト青年会のふたりは
4日後のクリスマス・パーティにさそいにきたのだ。
ルーシーは拒絶するが、男女はしつこく勧誘を続け――

おお、老婆が始末されて家を乗っとられるかと思わせてあれか(w
しかしVol.1の「クリスマスの正義」との落差がすごい!(w


クイーン関連は古典ないしひと昔前のものが多いので、
こういう現代的なのは新鮮です。
それでいて伝統の薫りもしっかりしますし。
きっと劫臈を経ても不変なんでしょうね。魂です。
The Best of Mystery League, the First volume 2007 

「ミステリ・リーグ傑作選 上」飯城勇三編 (論創社)
本格ミステリの巨匠にして、
名編集者の顔も持つエラリー・クイーンが1933年に創刊し、
わずか4号で廃刊となった〈幻〉の雑誌「ミステリ・リーグ」。
クイーンの情熱ほとばしるエッセイ「クイーン好み」や、
珠玉の短編郡、舞台奇術のタネ明かし「フーディーニの秘密」、
著名人からも手紙が寄せられている「読者コーナー」等、
多彩な誌面から選りすぐりの作品を集めた傑作選。

傑作選というくらいだから、本誌収録作の短編集と思ってたけど、
クイーンのエッセイが大半をしめているのね。
誌面のイメージ再現にも力が入っているし、
やはりこの飯城勇三という漢、できる――!


1号(1933年10月号)

 姿見を通して 第1回 エラリー・クイーン

創刊にいたるいきさつや本誌の意義などのあいさつ。

 偉大なるバーリンゲーム氏 ジョン・マーヴェル

短編ミステリ。
紳士詐欺師バーリンゲーム氏。
抜け目のない相手に6セントの株を20ドルで買わせる手法とは?

 パズル・デパートメント

毎号、さまざまなタイプの知的難問を主題、という趣向。
第一問 足跡の謎 (足跡がひとつしかない雪の山荘での殺人)
第二問 隠された犯罪の言葉 (文章中の犯罪に関する単語を見つけるもの)
第三問 〈兎と亀〉の問題 (ふつうに算数です^^;)

 フーディーニの秘密 J・C・キャネル

マジシャンズ・クラブの副会長が
フーディーニの大奇術(脱出系が多い)の種明かし。
……やはり、機械的なものはがっくりきます。
生き埋めのトリック(?)には胸を打たれたな。

 クイーン好み 第1回 エラリー・クイーン

コラム。題材はいずれも犯罪に因んだもの。
クイーンのノンフィクションは新鮮でいい。

 作家よ! 作家よ!

寄稿者(掲載作家)の紹介、略歴など。

 批評への招待

巻末アンケートみたいなもの。住所は以下のとおり。
ニューヨーク 42番通り 西2丁目
リーグ出版株式会社 「ミステリ・リーグ」編集部

 次号予告

予告といいつつ、
掲載作は次号を開くまでのお愉しみ、というスタンス(w


2号(1933年11月号)

 姿見を通して 第2回 エラリー・クイーン

序文。ういういしい編集者クイーンの声。

 完全なる償い ヘンリー・ウェイド

倒叙もの。
娘を孕ませた伊達男の殺害を決意したアダムズ巡査部長。
綿密な計算のもと、自殺に偽装し射殺した――はずだったが、
奇跡的に相手は一命を取りとめてしまい……。

 クイーン好み 第2回 エラリー・クイーン

コラム。テンション高いよねぇ、若さだよねぇ。

 作家よ! 作家よ!

寄稿者(掲載作家)の紹介、略歴など。

 次号予告

予告しない方針は相変わらず(w
多くの読者の賛同を得たらしい!


3号(1933年12月号)

 姿見を通して 第3回 エラリー・クイーン

はしがき。高評価の手ごたえをかみしめてる。

 ガネットの銃 トマス・ウォルシュ

短編ミステリ。
覆面男が聖書の一節を詠いながら
カップルを襲撃するという事件が連続して発生。
事件を担当するガネット刑事は
犯人は無差別の変質者という本部の見解に疑問を持ち……。

 読者コーナー

読者の投書を掲載し、やりとりするコーナー。
いいよねえ、こういう交流は。
定期購買の小切手とか、かなしくなるけど(w;

 蠅 ジェラルド・アズウェル

ショートショート。
ジョーク集を執筆中の作家のひととき。
スコッチにフライ、と……。

 クイーン好み 第3回 エラリー・クイーン

コラム。専門知識の出どころがおもしろいですね。
〈怒れる投稿者〉のくだりなんて初めて聞いたぜ、
ネヴィンズいってたかしら(じっさい、ダメなファンである)
The Best of Mystery League, the second volume 2007 

「ミステリ・リーグ傑作選 下」飯城勇三編 (論創社)
別々の場所で発見された二つの遺体は同じ方法で殺害されていた……。
〈幻〉の作家による、ミッシング・リンク・テーマと
密室殺人の合わせ技が光る長編「角のあるライオン」。
他にハードボイルド短編やクイーンによるエッセイ「クイーン好み」。
さらに「ミステリ・リーグ」全四号の総目次と
芦辺拓による書き下ろしエッセイを併録。
本格ミステリの巨匠にして、名編集長の顔も持つエラリー・クイーンが、
一九三三年に創刊し、わずか四号で廃刊となった
〈伝説〉の雑誌「ミステリ・リーグ」の傑作選。

3号(1933年12月号)

 クイーン好み 第3回 エラリー・クイーン

承前。ここでは「角のあるライオン」の採点のみ。

 角のあるライオン ブライアン・フリン

長編ミステリ。
ヤードの総監に呼びだされた私立探偵アントニー・バサースト。
そこで2週間前から行方不明の暗号の専門家の男が
身体中あざだらけの毒殺死体で発見されたことを知る。
同様に、1ヶ月前から失踪していた銘文の専門家が
おなじような状態の毒殺死体で見つかった。
さらに暗号の専門家の甥が密室で毒殺される事件まで発生。
バサーストはこの事件のつながりを看破できるのか、
事件の影にひそむ角のあるライオンの正体とは?

本邦初公開(翻訳)の作品みたい。
名作ならね、とっくに訳されているでしょうから、
なるほどそんな感じの作品です(w
クイーンの採点でも8点6個とそれ未満の領域で、
とにかく平坦である印象はまぬがれないかなぁと。
もっとタイトルの生物をまじえた怪奇色が強ければよかった。

探偵役バサーストを「イギリスのヴァンス」と
紹介しているのも微妙なところ。
バサーストはとくに尊大じゃないし、礼儀正しいし。
(その辺が、イギリスの、なのか?w)

本誌掲載時と現代の越えられない差はあれど、
犯人(ニコラス)の造形はなかなかのものだと思います。
しかたないけど複数犯は切れ味がにぶりますけどね。

ところで、クイーンが指摘していた重大なミスってなんだろ??


4号(1934年1月号)

 姿見を通して 第4回 エラリー・クイーン

はしがき。「黒門荘の謎」(B・G・クィン)の採点。

 蘭の女 チャールズ・G・ブース

短編。ハードボイルド。
女優ステラ・カールが誘拐された。
彼女の育ての親である上院議員は身代金4万ドルを支払うことに決め、
一方で、私立探偵マクフィーに事件の調査の依頼をする。
その晩、夕食をとっていた上院議員が刺殺され、
身につけていた4万ドルも消失してしまう。
欲望うずまく夜の街をマクフィーが往く。

こちらも人間造形(蘭の女の)が光る一編。こわいねぇ。

 クイーン好み 第4回 エラリー・クイーン

コラム。「シャーロック・ホームズの私生活」の批評とか
ロス氏との講演旅行の宣伝とかベストテンとか。
"過ぎ去った遠い昔のある一日だけをよみがえらせる機会"
を与えられたら、どういたしまして、この講演こそ居合わせたい!


 黄金の雑誌、黄金の刻 芦辺拓

雑誌における黄金時代をテーマにしたエッセイ。

 解説 飯城勇三

……やっぱり、期待どおり、"重大なミス"についても
しっかり解説されているのね。なるほどなぁ。
この人の解説・分析を聞いてると
どんな作品でもすばらしく見せることができるじゃねぇかと思うよ。

 「ミステリ・リーグ」総目次 林克郎

「風読人」――"日本の探偵小説サイトそのもの"
とバウチャーがいったとかいわないとか――の
管理人による本誌の総目次紹介。
Mystery League
―ミステリ・リーグ誌(リーグ出版)のシンボルマーク― □□□□■■■□□□□□□□ □□□■□□□■□□□□□□ □□■□□□□□■□□□□□ □□■□□□□□□■□□□□ □□■□□□□□□□■□□□ □□□■□□□□□□□■□□ □□□□■□□□□□□■□□ □□□□□■□□□□□■□□ □■■□□□■□□□■□□□ □□■■■□□■■■□■□□ □■□■■■□□□□□□■□ □□□□■■□□□□□□□■ □□□■□■■□□□□□□□ □□■□□□■■□□□□□□ □□■□□□□■■□□□□□ 倒れている人間と虫眼鏡。 このエンブレムはクロスワード・パズルにも使われた。 第1号 1933年10月号 (160ページ) 「Mystery League Contents」(もくじ1) 「姿見を通して Through the Looking Glass」(編集前記2) エラリイ・クイーン 「レーン最後の事件 Drury Lane's Last Case」(長編94) バーナビイ・ロス 「夜陰 Nightshade」(短編3) ダシール・ハメット 「The Mystery of November's Issue」(次号予告1) 「疑惑 Suspicion」(短編8) ドロシー・L・セイヤーズ 「クイーン好み To thr Queen's Taste」(エッセイ9) エラリイ・クイーン 「批評への招待 An Invitation to Criticism」(読者アンケート1) 「偉大なるバーリンゲーム氏 Burlingame the Magnificent」(短編9) ジョン・マーヴェル 「作家よ!作家よ! Author! Author!」(収録著者紹介2) 「フーディニの秘密 Secrets of Houdini」(マジック解説第一回9) J・C・キャネル 「パズル・デパートメント Puzzle Department」(クイズ4) 「ガラスの丸天井付き時計 The Glass-Domed Clock」(短編10) エラリイ・クイーン Advertisements(広告7) 第2号 1933年11月号 (160ページ) Mystery League Contents(もくじ1) 「姿見を通して Through the Looking Glass」(編集前記2) 「The Riddle of Volume Four」(長編67) ファービ・アトウッド・テイラー 「次号 Next Issue」(次号予告1) 「窓のふくろう The Owl at the Window」(短編11) G・D・H&M・コール 「Another Invitation to Criticism」(読者アンケート1) 「Watch Your Step!」(短編9) ジョン・マーヴェル 「フーディニの秘密 Secrets of Houdini」(マジック解説第二回11) J・C・キャネル 「クイーン好み To thr Queen's Taste」(エッセイ9) 「完全なる償い Payment in Full」(短編8) ヘンリー・ウェイド 「パズル・デパートメント Puzzle Department」(クイズ4) 「Drums Beat at Night」(長編連載第一回30) ギャヴィン・ホルト 「作家よ!作家よ! Author! Author!」(収録著者紹介2) Advertisements(広告4) 第3号 1933年12月号 (160ページ) Mystery League Contents(もくじ1) 「姿見を通して Through the Looking Glass」(編集前記2) 「角のあるライオン The Spiked Lion」(長編81) ブライアン・フリン 「League Guide to New Mystery Fiction」(新刊ミステリガイド1) 「ガネットの銃 Guns of Gannett」(短編10) トマス・ウォルシュ 「フーディニの秘密 Secrets of Houdini」(マジック解説第三回12) J・C・キャネル 「Burlingame Draws Two」(短編8) ジョン・マーヴェル 「クイーン好み To thr Queen's Taste」(エッセイ8) 「蝿 The Fly」(短編3) ジェラルド・アズウェル 「パズル・デパートメント Puzzle Department」(クイズ5) 「Drums Beat at Night」(長編連載第二回22) ギャヴィン・ホルト 「読者コーナー The Readers' Corner」(読者投稿紹介6) Advertisements(広告1) 第4号 1934年1月号 (128ページ) 「姿見を通して Through the Looking Glass」(編集前記・表紙裏面) Mystery League Contents(もくじ1) 「The Mystery of the Black Gate」(長編74) B・G・クィン 「マッケンジー事件 The Mackenzie Case」(短編10) ヴィオラ・ブラザーズ・ショア 「パズル・デパートメント Puzzle Department」(クイズ4) 「クイーン好み To thr Queen's Taste」(エッセイ6) 「蘭の女 Orchid Lady」(短編8) チャールズ・G・ブース 「Drums Beat at Night」(長編連載最終回25) ギャヴィン・ホルト ※数字はページ数
ミステリマガジン
Hayakawa's Mystery Magazine
早川書房のミステリマガジンに掲載された貴重なラジオドラマの紹介。
すでにどこかしらに収録・発兌されているものは除外。
2007年現在、下記の3作だけですけどね。
(とりこぼしがあったらごめんなさい)



ミステリマガジン No.264 (1978年4月号)  The Blind Bullet 1940   暗闇の弾丸 (青田勝訳) エラリイ・クイーン………探偵 ニッキー・ポーター………彼の秘書 クイーン警視………………彼の父親 ヴェリー部長刑事…………クイーン警視の部下 キップ・ファーナム………億万長者の鉄道王 ブロッコ……………………彼のボディガード マックス……………………彼の召使 ジョアンナ…………………彼の姪で相続人 ディック・ホーリイ………ジョアンナの婚約者 車掌…………………………メイン急行列車乗務 ホリス,ストルーザー……ファーナムの部下 フリント……………………刑事 EQMM(1943年9月)に発表されたもの。 列車で狩猟に出かけるため準備をすすめる 富豪ファーナムに送りつけられた匿名の手紙。 そこには午後5時59分に彼が死ぬと予告されていた。 資産家につきもののいたずらであると一笑に付す彼だが、 姪のジョアンナはいやな予感が消えず、エラリイに助けを請うた。 さっそく駆けつけたエラリイ一行は、 ファーナムが乗る車輌、線路、駅を捜査、点検するが異常はない。 ついに列車は発車し、予告の時刻になろうというとき、 電気の故障が発覚し、そのままトンネルに突入。 暗闇につつまれた車内で、1発の銃声が鳴りひびいた! 怒号がとびかうなか、ライトの明かりに浮かびあがったのは 射殺されたファーナムの無残なすがただった……。 犯人は暗闇のなか、いかにして弾丸を命中させたのか? せっかく事件が起こるまえに呼びだされたのに まんまと出しぬかれるエラリイ(^^; トリックは短編でも似たようなのがありましたね。
ミステリマガジン No.525 (1999年12月号)  The Adventure of the Mark of Cain 1940   カインの烙印 (大庭忠男訳) エラリイ・クイーン………………犯罪研究家 ニッキー・ポーター………………エラリイの秘書 クイーン警視………………………ニューヨーク市警察本部警視、エラリイの父 ヴェリー部長刑事…………………クイーン警視の右腕 ジョン・カイン……………………変人の億万長者の老人 マードック…………………………カインの年とった召使 "デュード(気取り屋)"・カイン…ジョンの息子、恐喝者 "キラー(人殺し)"・カイン………ジョンの息子、プロボクサー "シュガー"・カイン………………ジョンの娘、ナイト・クラブのオーナー オーティス…………………………弁護士 パーカー……………………………オーティスの助手 1940年9月22日にオンエアされたもの。 The Poket Mystery Reader(1942)に収録。 《探偵倶楽部》(1956年12月号)にも「ケイン家奇談」として訳出。 弁護士オーティスとパーカーは 幽霊屋敷のようなジョン・カインの邸宅に呼びだされ、 遺言書の手続きを依頼された。 3人いる彼の子どものひとりに全財産を残すという。 その1週間後、ジョン・カインが死亡。 ふたりの息子は札つきの残忍な悪党で、 真面目な娘が財産を相続するであろうと思ったオーティスは 彼女の身が危険だと判断し、エラリイたちに相談を持ちかける。 そこで使用人に扮してカイン家に潜入することにした一行は 兄弟殺しを警戒し、無気味に緊張が張りつめた一夜をすごすことに……。 しかし事件は意外な展開を見せた。 夜が明け屋敷にやってきたオーティスが射殺されたのだ。 おどろおどろしい雰囲気がいいです。 エラリイが執事、警視が庭師、ヴェリーが運転手、 そしてニッキーがメイドになりきる部分の描写がほしかったね。 しかしオーティスはかわいそう(;;) 本号はエラリイ・クイーン誕生70年の特集があり、 エッセイやパスティーシュもあり。 パスティーシュはホックの「赤い丸の秘密」と ブリーンの「ギルバート&サリヴァンの手がかり」です。
ミステリマガジン No.555 (2002年5月号)  The Adventure of the Wounded Lieutenant 1944   重傷の帰還将校の謎 (大庭忠男訳) エラリイ・クイーン…………探偵 ニッキー・ポーター…………エラリイの秘書 クイーン警視…………………エラリイの父 ヴェリー部長刑事……………警視の部下 ジャック・センター中尉……米国軍人 "テックス"……………………米国軍人 インディアナ…………………米国軍人 メイジー………………………その妻 EQMM(1944年7月)に発表されたもの。 (合衆国政府の要請で書かれたとか) 元刑事のセンター中尉が負傷し帰還した。 病院へ見舞いにいったクイーン警視たちは 彼の部隊が待ち伏せに遭い全滅した話を聞く。 いったいなぜ、攻撃情報が漏洩してしまったのか? 何気ない隊員たち会話から、エラリイはそのなぞを解明する。 この号のHMMはクイーン特集で、 貴重なエッセイやハートの4[戯曲版]などがあります。 リーの息子ランド・リーが《TVガイド》1975年10月11日号に 寄稿したエッセイは家族ならではの視点がおもしろい。 クイーン自身のエッセイは以下のとおり。 「シャーロック・ホームズの初版本」(EQMM1945年2月号) 「ポー再発見」(EQMM1965年5月号) 「未刊のカー編纂アンソロジー」(EQMM1963年3月号) ほかにもクイーン満載の1号なので一家に一冊どうぞ。
EQ
Ellery Queen's Mystery Magazine Bimonthly
光文社のEQ誌(1978.1-1999.7,全130号)に
掲載された貴重なラジオドラマの紹介。
すでにどこかしらに収録・発兌されているものは除外。
2007年現在、下記のとおり。
(とりこぼしがあったらごめんなさい)



EQ No.25 (1982年1月号)  The Adventure of the Good Samaritan 1940   よきサマリア人の冒険 (汀一弘訳) No.100(1994年7月号)に再録あり。 エラリー・クイーン……………探偵 ニッキー・ポーター……………その秘書 クイーン警視……………………エラリーの父親 ヴェリー部長刑事………………クイーン警視の部下 ディル夫人………………………安アパートの女主人 チャーリー・モース……………貧乏な店子 ピサノ夫人………………………同 医師………………………………セツルメント職員 パトリック・オブライエン……貧乏な店子 ヨハン・シュミット……………同 オラフ・ナンセン………………店子 ヘルガ・ナンセン………………オラフ・ナンセンの妻 郵便配達夫………………………危急の際に登場 貧乏にあえぐ安アパートの住民たちに 匿名で100ドル札が速達で届くという事件が続いた。 いったいこの善良な人物はだれなのか? 住民に調査を依頼されたエラリイだが、 かつて銀行で100ドル札ばかりが強盗され、 捕まった犯人があのアパートに住んでいたと父に知らされる。 結局、盗まれた紙幣は発見されずじまいだったのだ。 ではいったい、どの住民がこの紙幣を見つけたのか? 送られてきた封筒に残された大小の不思議な文字を手がかりに エラリイが出した結論は? 悪人ではなく善人をつきとめる探偵エラリイ。 手がかりの真相には仰天だね、視力検査表なんて! つか、どこもそのパターンでいいのかあ(^^;
EQ No.28 (1982年7月号)  The Adventure of the Fire-Bug 1940   放火狂の冒険 (深町眞理子訳) エラリー・クイーン……………探偵 ニッキー・ポーター……………その秘書 クイーン警視……………………エラリーの父親 ヴェリー部長刑事………………クイーン警視の部下 スウィーニー……………………火災保険会社の外交員 ファーガスン……………………煙草・文具店主 フェリル…………………………室内装飾店主 マダム・デラージュ……………婦人帽子店主 ジェイコブ・ティンカー………質店主 サイモン・ティンカー…………ティンカーの知恵遅れの弟 ヒリヤード………………………消防署長 ほかに消防士、警官、野次馬など大勢 アルミをも熔かす化学薬品を使用した放火火災が3件連続して発生した。 被害に遭ったのはファーガスン、フェリル、デラージュの3人の店、 そして店を貸していたジェイコブ、 みなまともに保険に加入しておらず、大損害をこうむった。 そんなおり、今度はジェイコブの店が同様の手口で全焼してしまう。 彼はクラッカーのブリキ缶に2万ドルの"自宅貯金"をしていたが その紙幣も無残に灰となってしまう。 火災保険会社の外交員に調査を頼まれていたエラリイは 放火魔の正体、そして犯行動機を見破れるのか? ……融解点なんてしらない。
EQ No.29 (1982年9月号)  The Adventure of the Mouse's Blood 1940   ネズミの血の冒険 (深町眞理子訳) エラリー・クイーン…………………探偵 ニッキー・ポーター…………………その秘書 クイーン警視…………………………エラリーの父親 ヴェリー部長刑事……………………クイーン警視の部下 サム・バックリー……………………スポーツ・アナウンサー ジョニー・キルゴア…………………ヘビー級ボクサー ルウイ…………………………………キルゴアのマネージャー メンフィス・スラッツ・メイヨー…プロ野球投手 ピーウィ・ロビン……………………著名な騎手 ドッティ・デール……………………著名な女子水泳選手 マウシー………………………………ゆすり屋 ほかに拳闘ファン、野球場の観衆、競馬ファン、刑事たちなど大勢 ゆすり屋マウシーはボクサー、野球選手、騎手、水泳選手を 次々とゆすり、金曜日の夜に自宅へ金をもってこいと要求。 一方、この悪事に感づいたバックリーは知人であるエラリイに 現場に張りこみ、現行犯でマウシーをとっちめてほしいと依頼。 さっそく見張りをはじめ、4人が来て、帰り、いざ乗りこんでみると、 そこには胸を刺されたマウシーの死体が。 4人のなかのだれが犯人なのか? 壁に残された血の跡を糸口にエラリイの推理が冴える。
EQ No.30 (1982年11月号)  The Adventure of the One-Legged Man 1943   一本足の男の冒険 (深町眞理子訳) エラリー・クイーン…………探偵 ニッキー・ポーター…………エラリーの秘書 クイーン警視…………………エラリーの父 ヴェリー部長刑事……………クイーン警視の部下 ウィリアム・ホルスター……著名な兵器設計技師 ミス・マラー…………………ホルスターの秘書 ラプトン………………………ホルスターの工場の工場長 バーナード……………………ホルスターの工場の人事部長 ワシントンの高官……………政府の重要人物、とくに名を秘す ほかに工場の職員、電話交換手その他 EQMM(1943年11月)に発表されたもの。 なお、本号はダネイの死亡記事が出ています。 ナチに対抗する新兵器を開発中の工場にスパイの影が。 政府に調査を依頼されたエラリイ一行は 兵器工場の敷地内にあるホルスターの個人オフィスへ。 オフィスの周りには雪が積もっており、 そこには右足だけの足跡が残されていた。 ホルスターはかつて砲弾を受けて左足を失っていたが、 松葉杖のあとがないのはおかしい。 やがてホルスターが焼夷弾で殺害され……。 不自然な雪の足跡から、エラリイはスパイの正体をあばく。 エラリイ、この話でも"ヒラリー・キング"の変名を使用してる(w
EQ No.37 (1984年1月号)  The Adventure of the Frightened Star 1940   怯えたスターの冒険 (深町眞理子訳) エラリー・クイーン…………探偵 ニッキー・ポーター…………その秘書 クイーン警視…………………エラリーの父親 ヴェリー部長刑事……………クイーン警視の部下 トニー・ペッパー……………ハリウッドのプロデューサー ニーナ…………………………怯えたスター ペドロ・フェルナンデス……メキシコ人の召使い マリア・フェルナンデス……その妻 ハッチ警部補…………………ロサンゼルス警察の捜査係 マーフィ巡査…………………ベヴァリー・ヒルズ署の警邏係 ほかに列車車掌、黒人ウェイター、タクシー運転手、新聞記者大勢 EQMM(1942年春季月)に発表されたもの。 《探偵倶楽部》(1956年6月号)にも「脅やかされたスタア」で訳出。 クイーン家のアパートにあわただしくやってきたペッパー。 彼は2年前に引退した映画スターのニーナ―― 突然の引退後、ずっとなにかに怯え、 しっかりと施錠した自宅にこもっているという――を復帰させるため、 友人のエラリイにその手伝いを頼みに来たのだ。 承諾したエラリイたちははるばるハリウッドへ行くことに。 が、到着した一行はニーナが胸を撃たれ死亡したことを知る。 現場は完全な密室状態、凶器の銃は現場から消えていた。 さらに彼女の郵便貯金全額が引きおろされたことが判明。 ニーナはなにに怯え、いかにして殺されたのか? これはいくらなんでもアンフェアでは?(^^; 郵便貯金のシステムはいいですよ、文化のちがいですよ、 けど伏線抜きのそっくりさんはなあ。 いや、そりゃ、理屈はそうなんだけどさ。 いずれにせよ、雑な犯罪です(それ自体が伏線になるのかも) ヴェリーもあこがれる(!)ハリウッドが舞台なので ポーラと鉢合わせたりしたらよかったのにな(^^ヾ
EQ No.53 (1986年9月号)   The Adventure of the Murdered Ship 1943   沈んだ軍艦の冒険 (本戸淳子訳)
EQ No.98 (1994年3月号)  The Invisible Clock 1940   見えない時計 (久坂恭訳) エラリー・クイーン…………探偵 ニッキー・ポーター…………その秘書 クイーン警視…………………エラリーの父親 ヴェリー部長刑事……………クイーン警視の部下 グリーンロー…………………上流社会の若い男 エニッド・グリーンロー……その妻 ピーティー……………………ふたりの一歳になる息子 ドクター・ヴァン・ダイク…上流社会の医者 マートル・ヴァン・ダイク…その妻。エニッドの姉 フィリップ・リバルタ伯爵…グリーンロー家のゲスト マリー・リバルタ伯爵夫人…伯爵の妻 ダニエル………………………グリーンロー家の執事 スザンヌ………………………グリーンロー夫人のメイド 1940年8月11日に放送されたもの。 The Case Book of Ellery Queen(1945)に収録。 慈悲舞踏会で身に着ける妻エニッドの 50万ドル相当のカーバ・ルビーの紛失をおそれ、 グリーンローはエラリイに番人役を依頼した。 しかし事件は出かけるまえの夫妻の自宅で発生。 エニッドが子ども部屋に入ったとたん、 何者かに襲撃され、ルビーが奪われてしまう。 その頃、ダイニング・ルームの外の広間にいたニッキーは 時計の針の音を聞いていた。あたりに時計はないのだが……。 ニッキーが聞いた見えない時計の音の秘密が事件の真相を示す!
EQ No.104 (1995年3月号)  Honeymoon House 1940   ハネムーン・ハウス (久坂恭訳) エラリー・クイーン……探偵 ニッキー・ポータ………その秘書 クイーン警視……………エラリーの父親 ヴェリー部長刑事………クイーン警視の部下 ミスター・バレット……B.&B.小火器会社の社長 スティーヴ・バレット…その息子 ジャック・ベンソン……同社の若き共同経営者 ストライカー……………同社重役 ジョイス・ケント………ストライカーの秘書 タトル……………………バレット家のアジロンダック・ロッジ管理人 The Case Book of Ellery Queen(1945)に収録。 B.&B.小火器会社で ショーケースの展示品である拳銃と矢が盗まれた……。 あくる日、ベンソンとジョイスの結婚式が執り行われ、 ふたりはハネムーンにバレット家のロッジへ。 しかし、室内にあがってすぐに銃声が響き、 花嫁が射殺されてしまう。 ぼう然とし、錯乱した花婿は医者を探しに近くの村へ。 連れて戻ると、花嫁の心臓に矢が突き刺さっていた! 検死の結果、矢が刺さったのは死亡後のことと判明。 いったいなぜ、犯人はそのような行動におよんだのか? 今回はエラリイも仮説しか立てられなかったのですよ。 読者への挑戦でも隙のない解答を提示するのは無理といってるくらい。 いやいや、これに関してはまったくその通り。 いかにして凶器を盗んだのか、も大事なミステリだけど それ以上に、殺害後になぜ矢を刺したのか、が核だろうと。 だっていうのに説明されないんだもんなあ!(^^;;; 121ページ下段のシンボル論がFAなの〜?
EQ No.117 (1997年5月号)  The Invisible Clue 1942   見えざる手がかり (飯城勇三訳)
EQ No.127 (1999年1月号)  The Adventure of The Scarecrow and the Snowman 1944   案山子と雪だるまの冒険 (飯城勇三訳) 1時間のラジオ脚本「死せる案山子の冒険」を30分に縮めて発表したもの。
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