マーガレット・ミラー (Margaret Millar)

1915~1994
カナダ、オンタリオ州生まれ。
トロント大学卒業。
1938年、作家ロス・マクドナルドと結婚。
1941年「The Invisible Worm」でデビュー。
1956年「狙った獣」でMWA最優秀長編賞を受賞。
1957年から翌年までMWAの会長も務める。
1983年、MWA巨匠賞を受賞。
心理の機微をスリリングに活写する筆力に定評がある。
精神科医ポール・プライ医師、サンズ警部、
トマス・アラゴン弁護士といったシリーズもある。
    Beast in View
1955狙った獣★★★★

ヘレンは怯えて台から電話を払い落とした。 友人だというその女の声は、はじめ静かでほほえんでいた。 だが、話すほどに悪意を剥き出しにし、 最後にはこちらの死をほのめかす、 予言めいた台詞を吐いたのだった。 不安を断ち切れないヘレンは、亡父のもと相談役に助言を求めるが……。 MWA最優秀長編賞に輝く衝撃のサスペンス。 ニューロティック(神経症的)・サスペンス。 父の遺産で孤独に無色な生活を送るヘレン・クラーヴォー。 ある日、なんの前ぶれもなく鳴った電話で日常は一変する。 古い友だちエヴリンと名乗るその女の声は、はじめは優しく、 しかしだんだんと悪意を強め、最後には手もとの水晶玉に 事故に遭い無残なすがたのヘレンが映っているという。 恐怖から衝動的に電話を払い落としたヘレンは、 たんなるいたずら電話とどうしても思えず、 遺産を管理する亡父のもと相談役ブラックシアに 電話の女の捜索を依頼した。 しかし女の攻勢はエスカレートし、やがて戦慄の事態が……。 なんともまあ、病的で暗い作品です(;´Д`) 女と嘘。 この組み合わせの兇悪なこと! ジャンルは一瀉千里のサスペンスでも、 ホラーともいえるこわさのぞくぞく感と、 ミステリの仕上がりにもなっている構造に「おお」とふるえる。 シンプルでテンポよく読みやすいので一気に読破すると効果的です。 あの序盤のジェーンの電話の否定の大胆な伏線とか好きだなぁ。 なればこそ、ロスマクを籠絡できたってなもんです(w ※巻末に著作リストあり
    An Air That Kills
1957殺す風

四月のある晩。前妻の件で諍いをしたロンは、 友達の待つ別荘へとひとり向かい、それきり一切の消息を絶った。 あとに残された友人たちは、浮かれ騒ぎと悲哀をこもごも味わいながら、 彼の行方を探そうとするが……。 巧妙きわまりない物語の奥に埋めこまれた、もう一つの物語とは? 他に類を見ない高みに達した鬼才の最高傑作。
    The Listening Walls
1959耳をすます壁

思いたってメキシコ旅行に出かけたエイミーとウィルマ。 ありふれた旅路となるはずだったが、 滞在半ばウィルマがホテルのバルコニーから墜ちて死んでしまう。 居合わせたエイミーもそのときの記憶を欠いたまま失踪。 一体そこで何があったというのか? 依頼を受けた私立探偵ドッドは失踪人の身辺を探るが……。 鬼才が放つ緊迫のサスペンス。
    A Stranger in My Grave
1960見知らぬ者の墓

墓碑は断崖の突端に立っていた。 銘板には、なぜか自分の名前が刻まれている。 没年月日は四年もまえ――。 奇妙な夢だった。 そのあまりに生々しい感触に不安を覚えたデイジーは、 偶然知りあった私立探偵ピニャータの助けを借りて、 この“失われた一日”の再現を試みるが……。 アメリカ女流随一の鬼才が繊細なタッチで描きあげた傑作長編。
    The Fiend
1964心憑かれて

八月も終わるころ、小学校にまた子供たちが帰ってきた。 汗を飛ばして駆け回る彼らを、 三十二歳のチャーリーは密かに見守りつづけた。 ここにいてはいけない。 それはわかっているはずだったが、一人の少女に心捕われた時、 すべての戒めは脳裏から消えていた……。 心に病を負った男がカリフォルニアに引き起こす緊迫の心理劇。 傑作サスペンス。
    The Murder of Miranda
1979ミランダ殺し

匿名の中傷文の執筆にいそしむ偏屈な老人、 マフィアにコネがあると称する九歳の悪ガキ、 寄る年波に必死の抵抗を試みる美貌の未亡人―― そんな登場人物が入り乱れるなかある日一組の男女が失踪する。 駆け出し弁護士アラゴンを巻きこんで、事は意外な方向へ……。 恐ろしくもユーモラスな悲劇の顛末を描く鬼才の異色サスペンス。 アラゴン弁護士シリーズ。
    Mermaid
1982マーメイド

ある風の強い午後、スメドラー法律事務所を訪れたその娘は、 謎めいた台詞を残して帰途についた。 そして数日後、ひとつの報せがもたらされる。 娘が失踪した、という。 捜索に駆り出されたアラゴンだったが、 澱んだ池に投じられた一石は、やがて意外な波紋を描き出してゆく。 心に弱点を負った男女の軌跡を辿る、異色サスペンス。 アラゴン弁護士シリーズ。
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